患者に対する看護アセスメントでは、看護師のヒアリング力が求められます。こちらでは一例として、70歳の大腸がんに対する抗がん剤治療を行っている女性が患者で、自宅でおなかや腰の痛みを経験したと軽い調子で話されたケースから、どんなアセスメントを実施できるか見ていきましょう。患者の語り口が軽いものであっても、医療機関で看護師に対して発言するということは、ある程度印象深い痛みであったと推察できます。そのため、看護アセスメントでは、痛みについて掘り下げてヒアリングしていくことができるでしょう。まず一つとして、痛みの経過を聞くことができます。「おなかや腰の痛みを感じた時があると言っていましたが、いつ、どれくらいの時間、痛みましたか」などと聞くことができるでしょう。加えて、痛みの部位や、他の場所が痛まなかったかどうかも尋ねます。さらに、痛みの感じ方も説明してもらいます。痛みは大きく分けて、体性痛・内臓痛・神経障害性疼痛の3種類がありますが、体性痛は創部痛や筋肉痛など、痛む場所がはっきりしていて、「ズキズキする」などと表現されることが多いようです。また、体を動かしたときに痛みが増すのが特徴です。内臓痛は、腸閉そくやがん由来の痛み、生理痛などが含まれます。痛みを感じる場所は不明瞭で、鈍痛や押されるような痛みと表現されることが多くなります。神経障害性疼痛は、しびれを伴う痛みが特徴で、「ビリビリする」「電気が走ったような痛み」です。それらの痛みに波があるかどうかや、痛みの強さを数字で表現してもらったり、痛みによって困っていることなどもヒアリングできます。